こんにちは! 今日は、「ふるさと納税って節税になるの?」という疑問を詳しく書いてみたいと思います。
こちらの項目は読まなくてもふるさと納税を楽しむうえでは全く問題ありませんが、「どれくらいふるさと納税は得なの?」「減税ってどういうこと?」「上限額いっぱいまで寄付した方がいい?」などの疑問に答えます。
これらの知識があると、ふるさと納税を最大限にお得にできると思いますよー!
もくじ
ふるさと納税は「納税」ではなく「寄付」
ふるさと納税は、「納税」するわけではありません。自分の好きな自治体に「寄付」をする仕組みです。
寄付は、たとえばNPO団体や社会福祉法人などに行った場合にも控除を受けられる場合があります。ここでは詳しく書きませんので、ご興味のある方は下記の国税庁のページからご覧ください。
参考 No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)国税庁 ※ふるさと納税を始める際、同じ年にNPO団体などへ寄付をしている方は、ふるさと納税で受けられる控除額が変わってきますので、注意が必要です。
そもそも「控除」ってなに?
辞書で「控除」と調べてみると…
節税など税のことを話す際によく使われる「控除」という言葉とは、もともとどんな意味なのでしょう?
辞書を調べてみるとこのように出てきました。
【控除】(金額・数量などを)引き去ること。
(『岩波国語辞典第七版』岩波書店より)
もともとあるところから、何かを引くこと。これがもともとの「控除」の意味ですね。
たとえば収入を得るとかかるのが所得税ですが、収入の全体にかかるわけではなく、一定の金額を引いた金額に対して計算されます。この「全体から引く一定の金額」が控除です。
なので、控除が多いと税額も低くなる、というわけですね。
(収入全体の金額-控除)×所得税率=所得税
その他、ふるさと納税に関する用語についてはこちらの記事をご参照ください。
他の控除とふるさと納税の控除を比べると…
他の控除にどのようなものがあるか、表にしてみました。
控除等の種類 | 所得税(円) | 住民税(円) |
---|---|---|
基礎控除 | 380,000 | 330,000 |
一般の控除対象配偶者 | 380,000 | 330,000 |
老人控除対象配偶者 | 480,000 | 380,000 |
一般の控除対象配偶者 | - | 560,000 |
老人控除対象配偶者(※1) | - | 610,000 |
配偶者特別控除(控除限度額) | 380,000 | 330,000 |
一般の扶養親族(※2) | 380,000 | 330,000 |
特定扶養親族(※3) | 630,000 | 450,000 |
同居老親等以外の者 | 480,000 | 380,000 |
同居老親等 | 580,000 | 450,000 |
一般の扶養親族 | - | 560,000 |
特定扶養親族 | - | 680,000 |
同居老親等以外の老人扶養親族 | - | 610,000 |
同居老親等 | - | 680,000 |
一般の障害者 | 270,000 | 260,000 |
同居特別障害者以外の者 | 400,000 | 300,000 |
同居特別障害者 | 750,000 | 530,000 |
一般の寡婦 | 270,000 | 260,000 |
特定の寡婦 | 350,000 | 300,000 |
寡夫控除 | 270,000 | 260,000 |
勤労学生控除 | 270,000 | 260,000 |
※1/満70歳以上
※2/16歳以上19歳未満及び23歳以上70歳未満の扶養親族
※3/19歳以上23歳未満の扶養親族
(参考:「所得税・住民税控除額一覧 |東京の福祉オールガイド|福ナビ」)
表の上から二段目、基礎控除とは所得のあるすべての人に適用される控除で一律38万円です。
このほかの控除には、次のようなものがあります。
■雑損控除
災害や災難・横領により必要な資産に損害を受けたときに受けられる控除です。
■医療費控除
年間10万以上の医療費がかかったときに、それ以上の金額に対して控除を受けられます。※所得金額が200万円未満のばあいは、その所得金額の5%を超えた金額が控除の対象になります。
■セルフメディテーション税制(医療費控除の特例)
健康の維持と増進について取り組み、疾病の予防を行っている人がスイッチOTC医薬品を購入したときに受けられる控除です。
スイッチOTC医薬品の合計額が1年で1万2千円を超えると、超えた金額について控除されます。
セルフメディテーションについてはこちらに詳細があります。スイッチOTC医薬品の対象品目もありますよ↓
参考 セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について厚生労働省 ■生命保険料控除
生命保険、介護医療保険、個人年金保険を支払っている場合、保険料の一部が控除されます。控除される上限は生命保険料が4万円、介護医療保険料4万円、個人年金保険料控除4万円の合計12万円です。
■地震保険料控除
地震保険も控除を受けられます。控除額は最大5万円です。
■住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)
一般的には住宅ローン減税として知られている控除です。住宅ローンを利用して新築、取得、または増改築をした場合、年末の時点で住宅ローン残高の1%分(特定取得(※)に該当する場合は最大40万円、一般の場合は20万円)を10年間、特別控除を受けることができます。
※特定取得とは住宅を買った際の対価の額もしくは費用に含まれる消費税額等が、8%または10%の税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得を指します。詳しくは国税庁のサイトをご覧ください。
いろいろと紹介してきましたが、その他にも政党などに寄付したときの「政党等寄附金特別控除制度」や企業共済の掛け金が控除になる「小規模企業共済等掛金等控除」など他にも種類があります。
ふるさと納税は控除額をめいっぱい使える!
ここで注目してほしいのは、控除を受けるための条件がふるさと納税に比べると厳しいことです。セルフメディテーション税制については年間1万2千円ですが、医療費控除は年間10万円を超えないと控除になりません。
生命保険料や地震保険について控除されるのは助かりますが、この控除を増やすためには契約そのものを見直さないといけません。
しかし、ふるさと納税は寄付した金額から実質2,000円の負担金を引いた金額がすべて控除になるのです。医療費控除の10万円、生命保険や地震保険など他の控除と比べると、控除額をめいっぱいまで使いやすいんですね。
そのとおりです。もちろん、上限額はありますので、それについては次のブロックで説明しますね。
ふるさと納税の「控除」はどう行われるの?
ふるさと納税では、所得税と住民税を節税することができます。順に説明していきますね。
ふるさと納税と所得税
所得税は累進課税、つまり所得が多ければ多いほど税額が多くなる仕組みです。ただ、所得のすべてに課税されるわけではありません。
所得金額から、先ほどご紹介した「控除」を引いた額に対して税金がかかるのです。ふるさと納税で寄付したお金も控除になります。なので、ふるさと納税で寄付をすると、所得税を軽減することができるのです。
所得税の税率についてはこちらの表をご覧ください。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
■たとえば家族三人の「ふる さとお」さんの場合は…
さとおさんは年収400万円
妻のさとこさんは専業主婦
子どものさとみさんは小学生
↓
ふるさんの控除上限額は32,000円です。
※控除上限額についてはこちらの記事をご覧ください
所得税がどれくらい節約できるかは、下記の式で計算できます。
(寄付金額-2,000円)×所得税率=ふるさと納税で所得税を節約できた金額
■たとえば家族三人の「ふる さとお」さんの場合は…
(寄付金額-2,000円)×所得税率=(32,000円-2,000円)×20%=6,000円
所得税率は上の表を見ると、さとおさんは年収400万円なので「330万円を超え 695万円以下」の「20%」がかけられるとわかります。
ふるさんが限度額いっぱいの32,000円までふるさと納税の寄付をすると、所得税を6,000円分節約できたことになります。
ふるさと納税と住民税
住民税でふるさと納税に関わるのは「基本分」と「特例分」の2つです。まず基本分から見ていきましょう。
住民税の基本分
基本分は一律10%。なので計算式は下記のようになります。
(寄付金額-2,000円)×10%=ふるさと納税による住民税基本分の節税額
■たとえば家族三人の「ふる さとお」さんの場合は…
さとおさんは年収400万円
妻のさとこさんは専業主婦
子どものさとみさんは小学生
↓
ふるさんの控除上限額は32,000円です。
※控除上限額についてはこちらの記事をご覧ください
(寄付金額-2,000円)×10%=(32,000円-2,000円)×10%=3,000円
ふるさんのお宅では住民税の基本分は3,000円節税できたことになります。
住民税の特例分
特例分で税額控除されるのは、実は「寄付した額から、所得税と住民税基本分で節税できた金額を引いた残り」です。
(寄付金額-2,000円)×(100%-所得税率<5~45%>-住民税基本分<10%>)=ふるさと納税による住民税特例分の節約額
■たとえば家族三人の「ふる さとお」さんの場合は…
さとおさんは年収400万円
妻のさとこさんは専業主婦
子どものさとみさんは小学生
↓
ふるさんの控除上限額は32,000円です。
※控除上限額についてはこちらの記事をご覧ください
(32,000円-2,000円)×(100%-20%-10%)=21,000円
所得税率は先ほどの表から、年収400万円のさとおさんは「330万円を超え 695万円以下」の「20%」ですので式にあてはめます。
すると、ふるさんのお宅ではふるさと納税による住民税特例分の節約額は21,000円になります。
少し難しい計算式に見えますが、ふるさと納税を利用すると寄付金額から2,000円を引いた額がまるまる控除される、ということなんです。
とはならないんですね。「特例分は住民税の所得割額の2割」が上限と定められています。住民税の所得割額とは、所得に応じて税金が上がっていく住民税のことで、税率は一律10%です。
つまり、ふるさと納税はすればするほど税金が控除されるわけではなく上限が決まっているということと、その上限を超えると自己負担の寄付になってしまう、ということです。
寄付には変わりないので「損する」と表現するのは抵抗がありますが、節税ができてふるさとに寄付ができる、さらに返礼品ももらえる!というのがふるさと納税の醍醐味だと思うので、やっぱり上限額を知っておくことが大切だと思います。
まとめ
参考文献・参考サイト:
『これから始める人のふるさと納税らくらくガイド』(著者:叶温、発行:あさ出版)
参考 これから始める人の ふるさと納税らくらくガイド株式会社あさ出版 参考 所得金額から差し引かれる金額(所得控除)国税庁 参考 ふるさと納税のしくみ > 税金の控除について総務省 参考 そもそも控除とはどんなもの?収入に対して適用される所得控除とはクラウド会計ソフト freee
最後に
ふるさと納税が節税になる仕組みと「控除」について詳しくお伝えしました。
難しい用語がたくさん出てきましたが、「ふるさと納税の控除には上限額がある」「ふるさと納税の上限額から実質負担となる2,000円を引いた金額がすべて控除=節税になる」ということをわかってもらえたらうれしいです。
ふるさと納税全体の概要についてはこちらの記事をご参照ください。
[…] 節税の仕組み、税額控除などについてはこちらの記事でご紹介しています。 ふるさと納税は節税になる? 控除とは? 疑問点をわかりやすく解説! […]